内視鏡を用いて気管内バルーン留置による胎児鏡下気管閉塞術(fetoscopic endoluminal tracheal occlusion:FETO)が行われています。
この治療の原理は、気管を閉塞することにより肺胞液が貯留し、肺が拡大・膨張することを利用しています。
ヨーロッパのグループの報告では、治療適応をより重症例に限定し、内視鏡機器もより低侵襲なものを利用した結果、胎児治療群の方が生存率が有意に勝っていたということです。
FETOの有効性を検証するために、欧州とカナダを中心に、FETOランダム化比較試験であるTOTAL(tracheal occlusion to accelerate lung growth)trialが実施されています。
日本でも症例登録と治療を行っています。重症例では有効性が確認され、今後も治療が行われる予定ですが、中等症例は解析結果がでるまで中断しています。
(図はJapan Fetal Therapy Group2013のHP https://fetusjapan.jp/method/method-3195より引用)
先天性横隔膜ヘルニアでは肺が十分育たず、肺胞(酸素交換に必要な袋)や気管の枝分かれも少なくなっています。
このような肺では、肺の血管の面積も少なく、肺動脈自体も壁が厚くなっています。
生まれてから上手に酸素交換ができないことで肺動脈がさらに縮んでしまうことも重なって心臓から肺へ血液がうまく送れません。
そうすると全身にもきれいな血液を十分送ることができなくなってしまい、しんどくなります。
治療は一酸化窒素(NO)を吸入することで、肺動脈だけを広げて肺に血液を送りやすくします。
酸素投与も有効ですし、内服薬を使用することもあります。
健康な赤ちゃんでは生まれた後、自分で呼吸をすることにより、肺の血管が拡がり、肺への血流が増加します。その後、肺の血管抵抗も下がります。
卵円孔、動脈管もやがて閉鎖し、体中から戻ってきた血液は肺動脈を通って肺にスムーズに運ばれ、酸素たっぷりの血液を体中に運ぶことができます。
正常の空気の通り道と交通のない肺で、肺動脈ではなく大動脈からの血液で栄養される異常な肺のことをいいます。
肺のできる過程でおきた病気で悪性ではありません。
治療は外科的切除です。
胃酸ともに胃の中に入ったミルクや食べ物が食道に逆流して嘔吐や咳、喘鳴(ゼーゼー)をひきおこします。
生活指導や薬物療法を行っても症状が良くならないときは手術が必要です。
小腸の中間部分にみられる袋状の突起物を指します。
ほとんどは無症状に経過し、症状が出るのは4%前後で、主な症状は、下血あるいは腹痛です。
胸の中央部が凹んでいる変形のことをいいます。
ほとんどのケースでは凹み以外の症状はないことが多く、整容上の理由で治療されることが多いです。
治療方法は陰圧吸引療法や手術などがあります。
背骨が横に曲がり、多くの場合背骨自体のねじれを伴います。
側弯症がひどくなると変形による心理的ストレスや腰痛、背部痛、肺活量の低下が起こります。
まれに神経障害を伴うことがあります。
治療方法は手術です。
先天的に口唇(くちびる)、口蓋(くちの中の天井)、上顎(はぐき)に裂を認める病態です。
日本では500人に1人程度の頻度で生まれるとされています。
症状としては、口唇裂では多くの場合、顔面の変形は口唇にとどまらず外鼻(はな)にも及び、整容性の問題のほか、摂食、言語の問題が生じます。
口蓋裂では、食事や言葉が鼻から漏れることにより、摂食、言語の問題が生じます。
治療を行うことにより、多くのお子さんは他のお子さんと同様な生活を送ることが可能です。
13番染色体が3本あることにより、成長障害や先天性心疾患、けいれんなどを伴うことが多いですが症状は一人一人違います。
変化する病状に合わせたきめ細かな医療的ケア、療育的支援が必要です。
18番染色体が3本あることにより、先天性心疾患、肺高血圧、呼吸不全をきたすことが多いです。
病状に合わせたきめ細かな医療的ケア、療育的支援が必要です。
RSウイルスに対する抗体の注射です。
秋から春にかけて毎月1回注射が必要ですが、予防接種とは違うので、スケジュールを気にすることなく注射できます。
とても高価な注射なので、誰でもできるわけではなく、RSウイルスにかかると重症化しやすい赤ちゃんが対象になります。
注射の対象者については、KNOW★VPD!のHP(リンクをお願いしているところです。)をご覧ください。
(注)先天性横隔膜ヘルニアという病名だけでは、対象にはなりませんので、主治医とご相談ください。
発達全般、知能、言葉や対人関係、運動などのこどもの状況を客観的にみる検査です。
結果は、発達指数(Developmental Quotient:DQ、年齢どおりに発達していれば100)で表現されます。
発達指数は、同じこどもでも成長にともなって変化しますので、定期的に検査を受けることで発達の状況を確認することができます。
検査方法は様々なものがあり、心理士さんと積み木やパズルで遊びながら検査することもあります。
小さい間は親も後ろで見れて、こんなことできるんだ!と新しい発見があるかも!
生まれてすぐや手術の後の面会では、お子さんはお薬で深く眠っていることが多いです。
近くにいるけど抱っこも出来ず、もどかしい気持ち・・・
お子さんとお子さんの状態をうつしだすモニター画面を交互にみる時間が続くと思います。
このたくさんの数字は何を意味しているの?
モニターのアラーム(警告音)がなっているけど、看護師さんはボタンを押してそれを止めて別の子のところにいっちゃった・・・大丈夫かな・・
看護師さんに聞きたいけど忙しそうだし・・・
そんな時、少しでも知っている数字があればいくらか安心かもしれません。
モニターの種類はたくさんありますが、数字はほぼこの並びで並んでいます。
医師は基準値を設定し、その範囲を超えるとアラームが鳴り、ランプが点滅して知らせてくれます。
アラームが鳴るということは、お子さんの状態に変化があるということなので、その原因を確認する必要があります。
一番上の緑色の数字は心拍数です。
心拍数は、妊婦健診で血圧を測る時、いつも一緒に測定されているので、ご自身はだいたいいくらかご存じだと思います。
(個人差はありますが、1分間に60~80回くらいの方が多いです。)
大人と子どもでは心拍数の正常値は異なり、生まれたての赤ちゃんで1分間に130~140回、1歳ころになると120~130回といわれています。
面会に通っていると、そのうちお子さんが楽そうなときの心拍数はどれくらいだな、というのがわかるようになると思います。
その普段の心拍数が140回だとすると、150~160回くらいにあがっている場合は、眠りが浅くなってきていたり、少し調子が悪かったり、何か訴えたいことがあるのかな、と考えます。
ただ、赤ちゃんでは少し泣いたりするだけで心拍数は簡単に200回を超えることもあります。
一時的に心拍数が上昇し、基準値をこえてアラームが鳴ってしまっても、赤ちゃんが泣いていたり、原因が明らかにわかる場合は看護師さんはアラームボタンを止めて特に何もしないこともあります。
下から2番目の青色の数字は酸素飽和度です。
酸素飽和度は、健康な大人にとってはあまり馴染みのないものかもしれませんが、血液中にどの程度の酸素が含まれているかを表す数値です。
この数値は大人でも子どもでも、正常値は96%~99%です。90%より低いと十分な酸素を全身の臓器に送れなくなった状態の可能性があると言われています。
ただ、お子さんの状態や体の向きなどによって、一時的に、95%を下回ったり、数字がふらふらと変動することもあります。
また、酸素飽和度も、赤ちゃんが泣くとうまく数値を測れなくなり、一時的に90%を下回ることがあります。
酸素飽和度は、手や足の指先や足の甲などにセンサーと呼ばれるテープを巻いて測ることが多いのですが、それがうまく装着されていないと数値が低くでることもあります。
原因が明らかにわかる場合は心拍数と同じようにアラームを止めるだけで何もしないこともありますが、数値がいつもより低い状態が続くようであれば、センサーがうまく装着できているかを確認した上で、痰を吸引したり、呼吸器の設定を変更したり、レントゲン撮影や血液検査を行うこともあります。
一番下の白色の数字は呼吸数です。
ご自身の呼吸数はあまり意識されたことはないかと思いますが、大人では1分間に18~20回くらいです。
心拍数と同じように大人と子どもでは正常値は異なり、生まれたての赤ちゃんで1分間に40~50回、1歳ころになると30~40回といわれています。
呼吸数も、普段より早くなる場合は、眠りが浅くなってきていたり、少し調子が悪かったり、何か訴えたいことがあるのかな、と考えます。
こちらも泣くだけでかなり早くなりますので、アラームが鳴っても何もしないことがありますが、数値が高い状態が続くようであれば酸素飽和度の低下と同じように原因を検索する必要があります。
呼吸数に関しては、お家に帰られてからも手軽に測定できますし、お子さんの状態をみるとても良い手段だと思います。
お子さんの状態が落ち着けば、呼吸数などは1日に何度かの測定で良くなり、酸素飽和度と脈拍数だけを測定する器械に変わります。
なんだか少しずつステップアップしていくのは嬉しいですね!
下の写真の器械は入院中も、人工呼吸器や在宅酸素の方はお家でも使用されることがあると思いますので、簡単に特徴をご説明します。
アラームの設定は自分でできるので、お子さんの成長や状態にあわせて変更できます。
人工呼吸器や在宅酸素の方は、提携している酸素ボンベの会社から貸し出してもらえますが、基本的にはどちらか1つを選択することになります。
(会社によっては選べないこともあります。)
重さは1.6kgくらいで、結構ずっしりとした重みと大きさがあります。
とても荷物になりますが、右に書いたような事情で、外来にもこちらを持ってきておられる方をよく見かけます。
重さは300gくらいなので、外出時に便利です。
入院中は、検査でベッドから移動するときなどにこれにつなぎかえることもあるでしょう。
少しでも荷物を減らしたい外出時はとても便利なのですが、新品の乾電池をいれても1日もたないことが多く、夜間など継続してモニターが必要な方は据え置き型が良いかと思います。
私たちが実際に使用して使いやすかったもの、良いなと思ったものを掲載させていただいております。
掲載の許可はいただいておりますが、広告目的ではございませんので、ご理解よろしくお願いいたします。
術後すぐや、しばらくは直接母乳を飲めないことがあります。その場合は、ミルクや母乳をチューブから注入する必要があります。
母乳を選択される場合は搾乳が必要になります。
病院でも指導してもらえますが、面会や子育てをしながらの搾乳は大変なこともあります。
搾乳便利グッズや体験談などが少しでもお役に立てれば幸いです。
★ミルクであっても母乳であっても、直接母乳であっても哺乳瓶であっても、経管栄養であっても、お子さんの状態にあわせて、できるだけお母さんのお気持ちに沿うこと、お母さんのご負担が少なく笑顔でいれることが一番だと思います。
病院に置いてあることも多いメデラの電動搾乳機シンフォニー。
とっても楽です。自宅でレンタルすることもできます。
シンフォニーほどの力はありませんが、電池でも動く小型の電動搾乳機。
持ち運びに便利で、お子さんのベッドサイドや外出先でもできます。
手動の搾乳機。
時々搾乳する程度なら十分ですが、毎回だと腱鞘炎になってしまうかも・・
手しぼりタイプの方がしっくりくる方もおられます。
手しぼりもポンプ搾乳もできる2wayのものがピジョンから発売されているようです。
ハンズフリーで搾乳できる超便利そうな搾乳ブラも発売されているようです。
搾乳パックも1日8袋くらい使用するとあっという間になくなり、出費がかさみます。
最初は赤ちゃんがあまり量をのめないので、一生懸命しぼった搾乳パックの保存で冷凍庫がパンパンになることも。
夜間の搾乳は眠たくて、少しでも手間を減らしたいですよね。
母乳パックを直接つなげて搾乳できる便利グッズも発売されているようです。
小さく生まれてきた赤ちゃんのお洋服や、医療的ケアの必要なお子さんのための可愛いグッズを販売しておられます。
カテーテル収納ポケット付きのスタイは経管栄養のカテーテルの収納に便利です。
酸素ボンベバッグは、中でボンベが動かない工夫がされています。
オシャレなバッグと一緒だったらお出かけも楽しくなりますね。
こんなかわいい回路カバーだったらお家時間もお出かけ時間も明るい気持ちになれますね。
優しい風合いのカニューレバンドは生地にもこだわっておられるようです。