先天性横隔膜へルニアは、横隔膜がうまく作られないことによっておこります。
横隔膜は妊娠10週頃に作られますが、膜が作られなかったり、不十分だったりすると穴ができます。
うまく横隔膜が作られない原因として、レチノイン酸(ビタミンAが変化したもの)が関わるところでの障害や、遺伝子の関わりがあるのではないかといわれていますが、まだはっきりわかっていません。
発生頻度は、2,000〜5,000人の出生数に対して1例といわれています。
日本小児外科学会による最新の調査では、年間発症数は約200例と報告されています。
横隔膜に穴がみられる側(患側)は左側が約90%で、右側は10%程度です。両側はまれで1%未満といわれています。
胸の中に腸が入り込むため、腸回転異常症(腸管は通常おなかにおさまるときに回転しながら固定されるのですが、うまく回転がおこらず通常と異なる腸の固定がなされることで腸がねじれやすくなったりする病気)はよくみられますが、この病気を除けば約70%の患者さんは他の病気を伴いません。
約30%の患者さんは心大血管奇形、肺葉外肺分画症、口唇口蓋裂、停留精巣、メッケル憩室、気管・気管支の異常などさまざまな病気を伴います。
約15%の患者さんは、生命に重大な影響を及ぼす重症な心奇形やその他の重症な奇形、18トリソミー、13トリソミーなどの重症な染色体異常、多発奇形症候群などを合併します。
日本での最近の調査では、先天性横隔膜ヘルニアの新生児例全体の 75%が生存退院しています。
( 新生児先天性横隔膜ヘルニア 診療ガイドラインより引用)
重篤な合併奇形や染色体異常を伴わない場合は84%が生存退院しています。
出生前に診断される症例も増えていますが、前記の調査では72%が出生前診断例であり、そのうち71%が生存退院しています。
先天性横隔膜ヘルニアでは、重症度が生存率や生まれてからの経過に関わっています。
かかっている病院によって使用される重症度分類は違うかと思います。
ここではよく使用される重症度分類をいくつかご紹介します。
画像は大阪大学小児外科HP
http://www.pedsurg.med.osaka-u.ac.jp/disease/cdh/cdh.htmより引用。
画像は大阪大学小児外科HP
http://www.pedsurg.med.osaka-u.ac.jp/disease/cdh/cdh.htmより引用。
(新生児先天性横隔膜ヘルニア 診療ガイドラインより引用)
在宅酸素については、提携している酸素ボンベの会社の方がとても親身になって相談にのってくれます。モニターの貸し出しなどもしてくださります。
気管切開については子どもの気管切開ナビhttps://www.ncchd.go.jp/hospital/about/section/geka/navi/というサイトがとてもわかりやすいです。